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6/1 恵比寿

古舘伊知郎シークレットライブ 微妙な果実~トーキングフルーツ」へ行ってきました。

恵比寿駅からガーデンプレイスへ続く長い動く歩道を抜けた所を左へ曲がり、その少し先にある恵比寿act*squareへ。会場はスーツを身に纏った業界関係者と思わしき人と普通の一般の人と、半々ぐらいだったのだろうか。300人も入れないくらい規模は小さく、普段は椅子を客席として並べず、レセプションパーティーなどが行われていそうな格式ある空間に会場として設営されていた。

以下、自身の記憶に基づくレポートになります。

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19:10、会場が暗転し、前方上方のスクリーン上に報道キャスター・古舘伊知郎の姿が映し出される。2016年3月31日、報道ステーションを降板となった放送回、最後のコメントが上映された。

上映終了後、古舘氏がステージへ登壇、観客は拍手で迎え入れる。
報道ステーションの最後のコメント、7分33秒。素晴らしいね、我ながら惚れ惚れする。だけど注意深く見てもらった方は気付いたかもしれない。コメントの中盤、口の周りを舌なめずりしてたんだ、深層心理ってのは正直なもんだね、

今日のトークライブは元々は、報道ステーションを辞めた古舘がまだまだしゃべり手として活躍したい思いをラジオやテレビの関係者の方に見ていただく場を設けようと、関係者向けのシークレットライブとして開催が進められていたんだけれども、お客さまがあってこそのトークライブだろうということになったんだ、新聞にはこう打ち出された「古舘伊知郎、シークレットライブ開催決定!」シークレットでも何でもないじゃないか、

雑誌を読んでいて、巻末の方にフィリピンのデトックス施設があるっていうんで、そこへ行ったんだ、3週間。本当は最長で2週間のコースだったんだけれど、無理言って3週間にしてもらった。どうしてか3週間海外に行きたかったんだ、よくよく考えてみたらニュースステーション久米宏さん、毎年3週間のバカンスを取っていたんだ、

最後にプライベートで海外へ行ったのは2007年、9月のことだった。シンガポールのリゾートへ行ったんだが、ホテルに戻ってふとテレビを付けてしまったんだ、NHKシンガポール。「安倍政権、倒れる!」おいおい倒れちゃったよ。ふとケータイの着信が鳴る、番組のプロデューサーからだ。「古舘さん、安倍政権倒れちゃいましたよ、で、日本に戻ってきます?まだシンガポールにいます?」二択で聞いてきやがったよこの野郎、人を試しやがって

何もフィリピンへ行くのは今回が初めてじゃないんだ、まだ局アナだった頃、かつての水曜スペシャルという番組で「空前!第一回首狩り族対抗鉄人マラソン大会」という企画があって、俺はその実況でフィリピンまで行ったんだ、現地へ行くと原住民の人がもてなしてくれて、大きな穴があったもんで、覗いてみたら黒豚が何匹もブヒブヒ言ってるんだ、その穴に首狩り族が4人位向かって行ってブリブリブリとウンコをするんだ、その後に穴の中の豚の首を掻っ切って、料理を振る舞ってくれたんだけれども、三日三晩下痢は止まらなかったね、

(話を現代に戻して)
フィリピンのデトックス施設は、街中から離れた場所にある。空港から1時間も車に揺られると、広がる景色はまさに原風景。道路沿いの小屋みたいな商店の軒先、ぶら下がるのはラムネ菓子と犬の形をしたグミ。ふと前方に目をやると車と車の間を子どもがいとも容易くするするとすり抜けていく。

到着したデトックス施設、名前は「THE FARM」。デトックスと言えば断食のイメージが強いけれども、この施設では徹底したヴィーガン料理が振る舞われる。朝のコース料理と夜のスープ、極めつけは10時、13時、15時のフルーツジュース。すべてが施設内の農場で育てられたものだ。バナナ、パパイヤ、マンゴー、スターフルーツ。ありとあらゆるフルーツが施設内に原生している。振る舞われるフルーツはすべて昔ながらの酸っぱいものだ。(=微妙な果実)

1日目のデトックスデトックスとは云うものの要は浣腸だ。診察室へ入ると、リクライニングの背もたれが付いた便器が備え付けられている。診察用の衣服を渡され、着替えた姿はまるでてるてる坊主、ポンチョの様子であったがそれは正面のみ。背面はまさに新妻裸エプロンそのものであった、

便座に腰掛けると、てるてる坊主の下から看護婦が手袋越しに肛門へ指を突っ込んでくる、ズブズブズブッ、「ナイス!」何がナイスだ馬鹿野郎、

浣腸を終え、快い気持ちでコテージに戻った後はベッドに横になって長いこと積ん読されていた本を読んでいく、特に素晴らしいと思ったのは岸政彦さんの「断片的なものの社会学」。稲垣足穂の小説「一千一秒物語」のような後味だ。しかし本を読んでいると、ブーン、ブーンと目の前を蚊や蝿が横切る。コテージは立てつけが悪く、窓やドアの隙間から虫が入ってくるのだ。フィリピンへ来ておきながら、デング熱やジカ熱が怖いもので、車で1時間、でっかい蚊取り線香を買ってきてもらった。部屋の中に3つ、水回りに2つの計5つ、コテージの中いっぱいに煙が立ち込める状況になった。しばらくしてマネージャーがあわてて言った、「古舘さん!この蚊取り線香は5つ焚くと1日でタバコ70箱分の悪影響があるみたいです」

デトックス施設での生活も2週間半ばを過ぎるとバッドな方向に気分が振れてくるんだ、俺の大好きな村上春樹の小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んでいてもイライラが沸き起こってくる、何なんだこの内容、7割が比喩じゃないか、そして何だこの中途半端な結末は、続編を出す気マンマンじゃないか。翌日の浣腸、宿便と呼ぶべきウンコが出る。その晩に読んだ村上春樹、最高!

日本へ帰ってきて、好きな映画を好きなだけ見る。俺は園子温の映画が好きなんだ、全作品の半分も見れていなかったけれど、初期の自主製作の映画から全部見てやろうと思って品揃えの良い六本木のツタヤへ向かったんだ、芋洗坂の下の交差点、左手にはツタヤ、右手にはでっかいテレビ朝日。DVDを借りようと2階へ向かうエスカレーターに乗るも気持ちは後方テレビ朝日へ。エスカレーターを降りると目の前には華やかな香りを放つポプリが。色鮮やかな花びら、フィリピンの日々に思いを馳せる。ポプリを手にレジへ向かう、「ポプリをください」パワポも知らないのによく言えたもんだよ、

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記憶があいまいな部分とオフレコにすべき内容、そして古舘氏の語りでないと雄弁に表現できないものを除いた内容、その一部である。

19:10の開演から21:10の終演までの2時間、テーブル上の水が注がれたグラスには目も暮れず、しゃべり倒した古舘伊知郎のトークライブ、本人が立て板に水と表現したように、圧巻としか言いようがなかった。
そして、本トークライブの本来の目的である、テレビ・ラジオ関係者へのアピールの要は、「今日のこのトークライブのように自由に話せる場を俺に用意してくれ」ということに他ならないと感じた。
生きた喋りを活かすことを第一に考えれば、録画・録音よりも生放送の番組が相応しいのだろう。
放送コードも踏まえると、テレビよりもラジオの方が良いのだろうか、もしもLINE LIVEやAbemaTVに抜擢されたとしたら、メディアの潮流を変えかねない1つの事件になり得るのではないか、なんて勝手に考えてしまうが、とにかく報道ステーションの任を終えた古舘伊知郎の今後の活躍が期待として大きく膨らむ一夜だった。