#20171111 Harajuku

 明治神宮前駅で地下鉄を降りる。表参道と明治通りが交わる神宮前交差点の混雑が脳裏をよぎったため、JR原宿駅方面へ地下の道を進んだ。原宿駅側の改札を出ると、辺りに香り立つ砂糖とバターの甘い匂い。その匂いの発生源となっていた改札の真正面にある店舗でデニッシュを購入した。出口のエスカレーターに乗り、地上へ出る。「折角の機会なのでデニッシュを食べながら、近くの代々木公園を散歩しよう」と思い立ち、五輪橋を渡った。明治神宮へ行ったことと、渋谷公園通りへ続くNHK横の遊歩道を歩いたことはあるものの、代々木公園へ行くのは初めてのことだった。

 原宿門から代々木公園の中へ入る。園内の地図を眺め、反時計回りに公園を一周することにした。土曜日の昼下がりということもあり、多くの人が公園を訪れていたが、彼らを収めてもなお有り余るほどの広さを代々木公園は有していた。季節の花々や魅力的な遊具と呼べるものは無いものの、それぞれの休日を過ごす人々が緑の芝生が生い茂る広場に集まっていた。酒盛りを楽しむ若者たち、七五三のお参りに来た家族連れ、飼い犬と一緒にランニングに励むシニア、静かに互いの体を寄せ合う恋人たち、それぞれの時間が並行して公園に流れていた。

 渋谷門から代々木公園を出て、再び原宿駅前へ戻ってきた。竹下通りよりも北側、人通りの少ない道を進んで明治通りへ。歩道橋を渡り、原宿通りのアーチを潜る。路地の先にある原宿VACANTへ向かった。

 先日アルバムをリリースしたばかりのmei eharaのライブ。潮田雄一(Gt)、mmm(Fl, Key, Cho)、辻村友晴(キセル / Ba, Cho)、辻村豪文(キセル / Dr, Cho)の4人をサポートに迎えたバンド編成での演奏と、ライブ中盤とアンコールにmei eharaソロによる弾き語りが織り交ぜられた構成となっていた。バンドの演奏は新譜「Sway」の流れに沿った曲順で披露された。また弾き語りでは、活動名義が"may.e"だった頃に発表された「海へ」「スリープ」や、先日出来たばかりだという新曲、キセルの未発表曲「間に合う?」のカバーなど様々な楽曲が演奏された。

 mei eharaのライブを観て、一番に感じたのは"平熱"のイメージだった。ものに手を触れたとき、真っ先に知覚するのは温かいか、冷たいか、その温度だろう。平熱のものに触れたときに、手に感じるのは温度ではなく、手ざわり、その質感だ。質感を確かめるように何度も撫でていくうちに、自然と自分の心が開きながら、落ち着いていくような、そんな感覚を覚えた。