#20171117 Jimbocho

 神保町試聴室にて行われたシンガーソングライター・butajiのワンマンライブへ。水道橋駅九段下駅神保町駅の3駅を線で結んで出来る三角形、その中心にライブスペース・試聴室は位置している。自分は水道橋駅から会場へ向かったが、華金ということもあり通りに数多く並ぶ居酒屋はどの店も輝きを放っていた。間もなく試聴室に到着、会場の中に入る。ドリンクチケットの役割を果たすトランプのカードをビールと引き換え、席に座った。周りに目を向けると、真ん丸のビンを傾ける人の姿が。「リンゴジュース、ってマルティネリだったのか…」と若干後悔の念を抱きながらも、開演の刻を待った。

 満を持してbutajiが登場すると、客席の温かい拍手と歓声に迎えられた。クラシックギターを抱えて1曲目に演奏されたのは「ラブソング」。シームレスに続けて「サンデーモーニング」が披露された。熱の入った演奏を終え、ハンカチで汗を拭う。「本当は3曲目で脱ぎたくなかったんですけど…」と言い訳を交えながら黒いジャケットを脱ぎ、「銀河」が歌われた。続いて披露されたのは「秘匿」「花」「あかね空の彼方」の3曲。いずれもゆったりとしたテンポの楽曲だが、ボーカルとギター1本の演奏にも関わらず、それぞれの楽曲が映し出す情景に引き込まれる気持ちになった。Twitterで予め募ったリクエストに応える形で披露されたのは「ウィークエンド」。演奏を終えると「弾き語りだとボサノバみたいになっちゃって…」と申し訳ない様子を見せたものの、観客の「良かったよ」の声に安堵の表情を見せた。そしてコンピレーション盤「Young Folks in Metropolis」に収められた「長い雨」、ギターでリズムを刻みながら「EYES」が演奏された。「カバーを1曲」と披露されたのは山下達郎の「あまく危険な香り」。続けて「ミッドナイト・マジック」が歌われた。「宇多田ヒカルさんの曲のカバーを、前にやったのとは違う曲なんですけど、」と演奏されたのは「time will tell」。ギターの弾奏と原曲に倣ったボーカルの節回しが楽曲の魅力を引き出す演奏だった。また、「奇跡」とタイトルがまだ決まっていない新曲が続けて披露された。

 収録曲のインスト版も新たに追加された形でリイシューされたEP「四季」が今日のこのライブから販売されることを報告した後に、EPに収められた「四季」、秋をイメージした「悲しみはともだち」、冬をイメージした「けもの」の3曲が演奏された。そして最後に「Light」が披露され、ライブ本編が締めくくられた。鳴り止まない拍手にbutajiは深く一礼し、「いいとも」の一・三拍子で会場の拍手をまとめ上げた。「…これ、試聴室でしかやらないですから!」と言い訳しながらも、綺麗に拍手が揃い、嬉しい表情を隠せない様子を見せた。アンコールでは「初めてライブでやる新曲です、現在が過去と繋がった瞬間の歌、子供の歌です」と紹介された「Same Things Same Time」と「東京タワーとスカイツリー」が演奏され、ライブが幕を閉じた。